Google Cloud AI/ML
Google Cloud AI/MLサービスの徹底活用
はじめに:Google Cloud AI/MLで始めるAI活用
こんにちは。株式会社 十志(JUICY)です。
この記事は、AI/ML技術の導入を検討している中小企業のIT担当者や、DX推進リーダーを対象としています。AIと聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、Google Cloudのサービスは、その強力な機能を誰でも気軽に利用できるように設計されています。
ここでは、Google Cloudが提供するAI/MLサービスの全体像と、それがなぜ今、みなさまのビジネスにとって重要なのかを、私の個人的な視点を交えながら解説します。データという大海原を航海するみなさまの、心強い航海図となれれば幸いです。
Google CloudのAI/MLサービス全体像
Google Cloudは、長年にわたるAI研究の成果を、誰もが利用しやすいサービスとして提供しています。これらのサービスは、お客様の専門知識レベルに合わせて選ぶことができます。
Vision AI
画像や動画の内容を自動で分析するサービスです。例えば、ある通販サイトでは、毎日アップロードされる数百枚の画像をVision AIで自動分類し、商品管理の効率を大幅に改善しています。専門的な知識は必要ありません。
Natural Language API
テキストデータを解析し、その意味や感情、エンティティ(人名や地名など)を理解するサービスです。例えば、お客様からの問い合わせメールをNatural Language APIで分析し、緊急度の高いものを自動で担当者に振り分けるといった活用が可能です。
AutoML(Vertex AIの一部として)
「AutoML」は、専門的な知識がなくても、データセットから自動で高精度なモデルをトレーニングできる機能です。モデルの構造やハイパーパラメータの調整といった、通常は専門知識が必要な部分を自動化してくれるため、AI導入のハードルを大きく下げてくれます。
Vertex AIで始めるGoogle Cloud AI/MLの活用とユースケース
ここからは、Google CloudのAI/ML機能の核となる「Vertex AI」を使った、より具体的な活用法について解説します。
画像分類(AutoML Vision)
Vertex AIのAutoML Visionを使えば、専門的な知識がなくても、画像分類モデルを簡単に構築できます。
- データセットの準備: 分類したい画像と、それぞれの画像が何であるかを示すラベルを用意します。
- モデルのトレーニング: 用意したデータセットをVertex AIにアップロードし、AutoMLを使ってモデルをトレーニングします。
- モデルのデプロイ: トレーニングしたモデルをVertex AI上にデプロイし、API経由で利用できるようにします。
これにより、例えばECサイトで顧客がアップロードした写真から、商品のカテゴリを自動で判別するようなシステムを構築できます。
モデルのデプロイとAPI利用
Vertex AIの大きな強みは、トレーニングしたモデルを簡単に本番環境にデプロイし、API経由で利用できることです。WebhookやCloud Functionsと組み合わせることで、既存のWebサービスやアプリケーションとAIモデルをシームレスに連携させることができます。
BigQuery MLで始めるAI分析
データウェアハウスのBigQuery上で、SQLクエリを使って機械学習モデルを構築できるのが「BigQuery ML」です。SQLさえ書ければ、本格的な機械学習モデルも夢ではありません。
SQLで始めるクラスタリング
例えば、顧客の購買履歴データを使って、次のようなSQLクエリでクラスタリング(顧客をグループ分け)モデルを作成できます。
SQL
CREATE OR REPLACE MODEL
`your_dataset.customer_segmentation_model`
OPTIONS (
model_type='kmeans',
num_clusters=4
) AS
SELECT
user_id,
SUM(CASE WHEN item_category = 'food' THEN amount ELSE 0 END) AS food_spend,
SUM(CASE WHEN item_category = 'electronics' THEN amount ELSE 0 END) AS electronics_spend,
SUM(CASE WHEN item_category = 'apparel' THEN amount ELSE 0 END) AS apparel_spend
FROM
`your_dataset.purchase_history`
GROUP BY
user_id;
マーケティング施策への応用
このモデルを使えば、顧客を「高頻度で食品を購入する層」「家電を好む層」などに自動で分類し、それぞれのセグメントに合わせたマーケティング施策を打つことが可能になります。
MLOpsとエンタープライズ運用
AIプロジェクトの成功は、単に優れたモデルを開発することだけでは決まりません。モデルを継続的に運用・改善していくための仕組み、「MLOps(Machine Learning Operations)」が不可欠です。
Vertex AIは、このMLOpsを強力にサポートします。具体的には「Vertex Pipelines」を使って機械学習ワークフローを自動化し、「Model Monitoring」でモデルのパフォーマンスを継続的に監視することで、モデルの精度が低下した際には自動でアラートを出すといった運用も可能です。
よくある質問
はい、可能です。AutoMLのような自動でモデルを構築する機能や、Vision AIのような事前構築済みAPIを使えば、専門知識がなくてもAIの恩恵を受けられます。
Google Cloudのサービスは、使った分だけ支払う従量課金制です。無料枠も用意されているため、まずは少額から試してみるのが良いでしょう。
Google Cloudは、長年にわたるGoogleのAI研究の成果がサービスに色濃く反映されている点が特徴です。Vertex AIのような統合プラットフォームが整備されていることが強みです。
まとめ:AIを使いこなす第一歩
Google CloudのAI/MLサービスは、初心者向けの使いやすいツールから、専門家向けの統合プラットフォーム「Vertex AI」まで、幅広いニーズに対応しています。
AIを単なるツールとして捉えるのではなく、ビジネスの競争優位性を確立するための重要なファクターとして、その活用方法を深く考えることが、これからの時代には不可欠です。もし、AI/ML技術の導入や活用に関して、より深い知見や具体的な戦略についてお悩みであれば、私たち株式会社 十志(JUICY)にお気軽にご相談ください。
シリーズ記事:
The Cloud Titans #4-3
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