BCP対策 DR対策 事業継続計画
BCP対策 DR対策 事業継続計画
BCP/DR対策とは? – 事業継続と災害復旧の基本を解説
企業が予期せぬ事態に直面した際、事業を中断させずに継続し、あるいは迅速に復旧させることは、現代ビジネスにおける最重要課題の一つです。「BCP/DR対策」とは、まさにそのための計画であり、企業の存続と成長を支える基盤となります。このページでは、BCP/DR対策について、その意味、必要性、およびITインフラにおける具体的な役割を分かりやすく解説します。
【ITが苦手な方向け】この用語、ざっくり言うとこんな話です!
ITの専門用語って、なんだか難しそうに聞こえますよね。でも、BCP/DR対策は、実は私たちの日常生活での「備え」と同じ考え方なんです。
例えば、
- 「もしも」の時に、大事な『お店』を閉めずに続けられるようにする計画
- 大きな台風が来てお店の電気が止まってしまっても、電話やレジは使えるようにしておく。
- お店の人が急に病気で来られなくなっても、他のお客さんに迷惑をかけずに、いつも通りサービスを提供できるようにする。
- このように、「お店」がどんな状況になっても、お客さんや地域の人に迷惑をかけず、ちゃんと続けられるようにする、それが「BCP」の考え方に近いんです。
- 『大事なデータ』が消えても、また元に戻せるようにする仕組み
- お家で撮ったお子さんやお孫さんの大事な写真、もしパソコンが壊れたら全部消えちゃうかもしれませんよね。
- そうならないように、別のUSBメモリやインターネット上の場所に、同じ写真をもう一つコピーして保存しておく。これがあれば、もしパソコンが壊れても、大事な写真を取り戻せますよね。
- これが「DR」の考え方に近いものです。
つまり、BCP/DR対策とは、「どんなトラブルが起きても、会社の大事な仕事を止めないように、そしてもし止まってもすぐに元に戻せるようにする、しっかりとした『備え』のこと」だと思ってください。
BCP/DR対策の概要
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とDR(Disaster Recovery:災害復旧)は、企業の危機管理において車の両輪となる重要な概念です。
BCP(事業継続計画):
- 意味: 地震、火災、感染症流行、大規模システム障害など、予期せぬ緊急事態が発生し、通常の業務が中断・停止した場合に、重要な事業活動を中断させない、または可能な限り速やかに再開させるための包括的な計画です。
- 特徴: ITシステムの復旧だけでなく、代替オフィスの確保、人員配置、指揮命令系統、サプライチェーンの維持など、事業全体を継続するための広範な視点を含みます。
DR(災害復旧):
- 意味: 自然災害やサイバー攻撃、大規模なシステム障害などによって、ITシステム、データ、アプリケーションといった情報資産が損害を受けた際に、それらを復旧させるための具体的な計画と手順です。
- 特徴: BCPの一部として位置づけられ、特にITインフラの技術的な復旧に焦点を当てます。
なぜBCP/DR対策が重要なのか?(必要性・メリット)
現代社会においてITシステムへの依存は不可欠であり、緊急事態によるITインフラの停止は、ビジネスに壊滅的な影響を与えかねません。BCP/DR対策を事前に講じることは、以下のような多大なメリットをもたらします。
- 事業の早期再開・継続:
- 緊急時にも重要な業務機能を維持し、中断期間を最小限に抑えることで、ビジネスへの損害を限定的にできます。
- リスクの低減と損害の最小化:
- システム停止やデータ損失による経済的損失(売上機会の逸失、罰金など)や、企業の信用失墜、顧客離れといった無形資産への損害を最小限に抑えます。
- 企業価値と信頼性の向上:
- 危機管理能力の高い企業として、顧客、取引先、従業員、そして社会全体からの信頼を獲得し、企業価値を高めます。
- 法令遵守と社会的責任の履行:
- 特定の業界ではBCP策定が義務付けられている場合もあり、法令遵守や、サプライチェーンにおける責任を果たす上で不可欠です。
- 従業員の安全確保と士気向上:
- 緊急時の行動指針を明確にすることで、従業員の安全を確保し、混乱を最小限に抑え、組織の一体感を高めます。
ITインフラにおけるBCP/DR対策の具体的な役割・適用例
ITインフラにおけるBCP/DR対策は、主に情報システムの継続稼働と迅速な復旧を目指します。
- データのバックアップとリカバリ戦略:
- 定期的なデータバックアップを必須とし、複数の場所に保存する「遠隔地バックアップ」や、異なるメディアに保存する「メディア分散」を行います。
- バックアップからの復旧手順を確立し、定期的にテストすることで、有事の際に確実にデータを取り戻せるようにします。
- システムの冗長化:
- サーバー、ネットワーク機器、電源など、ITシステムの構成要素を複数用意し、一部が故障しても全体の機能が停止しないように設計します。これにより、システムの高可用性を確保します。
- ディザスターリカバリサイトの構築:
- メインのデータセンターが被災した場合に備え、地理的に離れた場所に代替のシステム(DRサイト)を構築します。これにより、地域全体を巻き込むような大規模災害でも事業を継続できる可能性を高めます。
- クラウド環境は、地理的分散が容易であり、必要なリソースを柔軟に調達できるため、DRサイトとして非常に有効です。
- RTOとRPOの定義:
- RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間): 業務中断からいつまでにシステムを復旧させるか、目標とする時間を明確にします。
- RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点): 障害発生時、どの時点までのデータ損失を許容するか、目標となる時点を明確にします。
- これらの目標値に基づいて、バックアップの頻度や冗長化のレベルを決定します。
- 定期的なテストと見直し:
- 策定したBCP/DR計画は、絵に描いた餅であってはなりません。定期的に実際にシステムを停止させて復旧テストを行ったり、模擬訓練を実施したりすることで、計画の実効性を確認し、改善点を洗い出します。
- 事業環境やIT技術の進化に合わせて、計画を常に見直すことが重要です。
当社のITインフラ基本設計サービスでは、お客様のビジネス要件とリスク許容度を詳細にヒアリングし、BCP/DR対策を考慮した最適なインフラ構成をご提案します。
関連用語
- RTO(Recovery Time Objective): 目標復旧時間。事業中断からシステム復旧までの許容時間。
- RPO(Recovery Point Objective): 目標復旧時点。データ損失の許容範囲。
- 高可用性(HA: High Availability): システムが継続して稼働できる能力が高いこと。
- 冗長化: システムの一部が故障しても全体が停止しないように、予備の構成要素を準備すること。
- ディザスターリカバリサイト: 災害時にメインサイトの代替として機能する遠隔地のシステム環境。
- オンプレミス: 自社で物理的なサーバーやネットワーク機器を保有・運用する形式。
- クラウド: インターネット経由でITリソースを利用するサービス。
まとめ
BCP/DR対策は、単なるITの専門技術ではなく、企業のレジリエンス(回復力)を高め、持続可能な経営を実現するための経営戦略そのものです。事前に適切な計画を策定し、定期的に見直すことで、不確実な時代における企業の競争力と信頼性を確保することができます。
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