料理人の旅立ち:最高のシステムを作るためのインフラ選定とDX時代

インフラ選定 重要性 DX

最高のシステムを作るためのインフラ選定とDX時代

最高の料理は、最高のインフラから始まる旅の始まりです

私たちは今、大きな時代の変化を迎えています。それはまるで、古き良き石窯の厨房から、最新鋭のAI搭載キッチンへと進化するようなものです。この変化は、ビジネスのあり方そのものを変えようとしています。株式会社 十志(以下、JUICY)が考える最高の「料理」、つまりシステムもまた、この変化に適応しなければなりません。最高の料理を作るためには、最高の食材と調理法が不可欠です。この連載では、システムという名の料理を成功に導くための「インフラ」という食材と「設計」という調理法について、一つずつ丁寧に解説していきます。

この旅は、決して簡単ではありません。しかし、皆様が最適なインフラを見つけ、最高のシステムを構築できるよう、JUICYが全力でサポートいたします。

DX時代におけるITインフラの役割

システム開発において、インフラは「キッチン」のような役割を果たします。おいしい料理を作るには、使いやすく、機能的なキッチンが必要です。インフラも同様で、システムの安定稼働と効率的な運用を支える、まさになくてはならない存在です。

特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代においては、この「キッチン」のあり方が大きく変わりました。経済産業省の定義では、DXは「デジタル技術を活用して、企業が競争上の優位性を確立すること」とされ、単なるIT導入ではなく、ビジネスモデルや企業文化の包括的な変革を意味します。JUICYもお客様の課題解決に貢献するため、インフラの特性を深く理解し、最適な提案を心がけています。

味の崩れた料理にならないために:選定失敗のリスク

インフラ選定を誤ると、システムは「味の崩れた料理」になってしまいます。例えば、システムの処理能力が足りず、ウェブサイトの表示が遅くなる、サービスが突然停止してしまう、といった問題です。これはまるで、大量の注文が入っているのに、コンロが一つしかないキッチンで調理しようとするようなものです。

過去には、インフラへの投資を軽視した結果、トラフィックの急増に耐えられず、サービスが停止した事例もあります。また、運用コストが想定外に膨らみ、事業継続が困難になったケースも少なくありません。インフラ選定は、単なる技術的な決定ではなく、事業の将来を左右する重要な経営判断なのです。


事例コラム:インフラ選定失敗による性能低下のケース

  • 問題: 国内小売業A社のECサイトで、セール期間中にアクセスが集中し、ウェブサイトの応答速度が著しく低下。
  • 原因: サーバーの処理能力やネットワーク帯域が不足していた。
  • 結果: 顧客はサイトから離脱し、売上機会の損失につながった。

このように、インフラの選択は、ビジネスの成功に直結します。


失敗しないためのインフラ選定レシピ:オンプレミスとクラウドの比較検討手順

インフラを選定する際には、やみくもに決めるのではなく、いくつかの手順を踏むことが大切です。ここでは、オンプレミスとクラウド、どちらが自社の「レシピ」に合っているかを検討するための具体的な手順を解説します。

  1. 目的と要件の明確化

    まず、インフラを導入する目的を明確にします。「新しいサービスを始めたい」、「既存の業務システムを効率化したい」など、具体的な目的を定めます。次に、以下の項目について要件を整理しましょう。
    ・性能要件: どのくらいの処理速度やデータ量を必要とするか?
    ・セキュリティ要件: どのレベルのセキュリティが必要か?機密性の高いデータを扱うか?
    ・コスト要件: 初期投資にかけられる予算はどれくらいか?月々の運用コストは?
    ・運用要件: 運用に必要な人員やスキルは?

  2. オンプレミスとクラウドの特性を比較

    ステップ1で整理した要件をもとに、オンプレミスとクラウドの特性を比較します。
    オンプレミスの特性: 物理的な管理権限を自社で保持できるため、要件次第では厳格なセキュリティ制御が可能です。しかし、初期投資が大きく、専門的な知識を持った人材が必要となります。
    クラウドの特性: 主要プロバイダは国際的なセキュリティ認証を取得しており、設定と運用次第ではオンプレと同等以上の水準を確保できます。さらに、初期費用を抑えつつ、柔軟にリソースを拡張・縮小できる点が大きな魅力です。

  3. 最適な選択肢の決定

    比較検討した結果、どちらの特性が自社の要件に合致しているかを判断します。例えば、初期費用を抑えてスピーディーに事業を始めたい場合はクラウドが、厳格なセキュリティ要件を満たす必要があり、自社で完全に管理したい場合はオンプレミスが適しているかもしれません。


クラウドというレンタルキッチンの提供者たち

今日、多くの企業がクラウドサービスを提供しています。その中でも、代表的な提供者をご紹介しましょう。

  • AWS:
    幅広いサービスを提供し、圧倒的なシェアを誇る、まさに「万能なキッチン」です。
  • Azure:
    Microsoft 365Active Directoryとの親和性が高く、既存のMicrosoft環境をクラウドに移行したい企業に最適です。
  • Google Cloud:
    データ分析やAI/ML技術に強みを持ち、BigQueryVertex AIといったサービスを活用したい企業に特に適しています。
  • OCI:
    高性能なデータベース(Oracle Database)と高いコストパフォーマンスが魅力で、大規模なトランザクション処理を必要とする企業に注目されています。

これらの提供者は、それぞれ異なる特徴を持っています。料理人が食材の特性を理解するように、インフラ担当者もこれらのサービスの特徴を理解することが、最適な選択につながります。

DX時代の新たな厨房、クラウドの可能性

クラウドへの移行は、単にインフラを移すことだけではありません。これは、ビジネスのあり方を変革するDXの第一歩です。クラウドを利用することで、ビジネスの立ち上げスピードが加速し、新しいサービスを素早く市場に投入できます。これは、まるで最新の調理器具を自由に使いこなし、次々と新しいメニューを生み出すようなものです。

確かに、クラウドにはコスト管理の難しさや、セキュリティに対する懸念も存在します。特に従量課金モデルの場合、常時稼働するリソースや高負荷ジョブを長時間実行すると、オンプレより高くなるケースもあります。しかし、これらは適切な知識と運用によって克服可能です。セキュリティ責任は事業者と利用者で分担されるため、自社の役割を理解することが重要です。

JUICYは、これらのデメリットも踏まえ、お客様にとって最適なクラウド戦略を共に考え、未来への可能性を広げるお手伝いをしたいと考えています。

FAQ

Q. オンプレミスとクラウドの違いを簡単に教えてください。

A. オンプレミスは自社でサーバーなどの機器を所有・管理する「自家製キッチン」のようなものです。
一方、クラウドはサービス事業者が提供するサーバーなどの設備を、インターネット経由で利用する「レンタルキッチン」のようなもの、とJUICYは考えています。

Q. クラウドに移行すると、必ずコストは削減できますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。
初期費用は抑えられますが、使い方によっては運用コストが膨らむ可能性もあります。
特に、常時稼働するリソースや高負荷ジョブを長時間実行すると、オンプレより高くなるケースも少なくありません。
利用状況を常に監視し、最適化することが重要です。

Q. クラウドはセキュリティが不安なのですが…

A. 多くのクラウドサービスは、非常に強固なセキュリティ対策を講じています。
ただし、セキュリティ責任の範囲は事業者と利用者の間で分担されるため、利用側でも適切な設定や管理を行う必要があります。

Q. DXって具体的に何をすればいいのですか?

A. DXは単にITツールを導入することではなく、デジタル技術を活用してビジネスモデルや企業文化を変革することです。
まずは、自社の課題を洗い出し、それを解決するためのデジタル技術を検討することから始めましょう。

Q. インフラの専門知識がないのですが、クラウド導入は可能ですか?

A. 可能です。
クラウドサービスの中には、専門知識がなくても使いやすいように設計されたものもあります。
また、JUICYのような専門のパートナーに相談することで、安心して導入を進めることができます。

Q. ハイブリッドクラウドとは何ですか?

A. オンプレミスとクラウドを組み合わせて利用する形態です。
機密性の高いデータはオンプレミスで管理しつつ、柔軟性が必要な部分はクラウドを利用するなど、それぞれのメリットを活かすことができます。

Q. クラウドのサービスを選ぶ際のポイントは何ですか?

A. 自社のビジネス要件、コスト、将来の拡張性などを総合的に検討することが重要です。
特に、将来的なスケールを考慮し、柔軟に対応できるサービスを選ぶことをおすすめします。

Q. クラウド移行にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 移行するシステムの規模や複雑さによって大きく異なります。
数週間で完了するケースもあれば、数年かかる大規模プロジェクトになることもあります。

Q. どのクラウドサービスが一番おすすめですか?

A. 一概に「これが一番」とは言えません。
各サービスにはそれぞれ強みがあり、お客様のビジネスの目的や要件によって最適なものが異なります。
JUICYはお客様の状況に合わせて、最適なサービスをご提案します。

Q. インフラ選定を間違えるとどうなりますか?

A. パフォーマンスの低下、運用コストの増加、セキュリティリスクの増大など、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
適切なインフラ選定は、事業の成功に不可欠な要素です。

最高のシステムという名の料理を、お客様と共に

この旅の始まりにあたり、インフラ選定の重要性についてお話ししました。システムという料理の成功は、適切なインフラという食材選びから始まります。

今日の記事は、あくまでJUICYの個人的な見解です。私たちはお客様の課題解決に貢献し、共に発展していくことを重視しています。この連載を通して、皆様が自社にとっての最高の「レシピ」を見つけられるよう、これからも情報提供を続けてまいります。何かお困りのことがございましたら、いつでもJUICYにご相談ください。

関連コラム


株式会社 十志 / JUICY LTD.をもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


コメント

コメントを残す

JUICY LTD.をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む