クラウドセキュリティの基礎。AWS・Google Cloud・Azureの対策事例付き

クラウドセキュリティ戦略

クラウドセキュリティ ガイド

はじめに:クラウド時代のセキュリティ、迷子にならないための地図とは

こんにちは、JUICYと申します。

本日は、企業のIT活用に欠かせない、クラウドセキュリティのお話です。多くのお客様が「クラウドは便利だけど、セキュリティは大丈夫なの?」という不安をお持ちです。実際、クラウドのセキュリティは、提供されるサービスと利用者の双方が責任を負う「責任共有モデル」という考え方に基づいています。そのため、クラウドサービスを利用する私たち自身が、セキュリティの仕組みを理解し、適切な設定を行うことが不可欠なのです。

今回の記事では、クラウドセキュリティの要となる「ネットワークセキュリティ」と「データ暗号化」について、分かりやすく解説します。大航海時代に例えるなら、外敵の侵入を防ぐ「護衛」や「見張り」がセキュリティ対策の役割を担っています。クラウドにおけるセキュリティ対策も同じように、大切なデータという財宝を守るために、様々な道具や仕組みを理解することが大切です。この記事が、皆様のクラウド活用におけるクラウドセキュリティ戦略の指針となることを願っています。

クラウド各社のセキュリティ機能比較(Google Cloud / AWS / Azure / OCI)

主要なクラウドサービスでは、それぞれ独自のセキュリティサービスを提供しており、利用者が自身の要件に合わせて選択、組み合わせることが可能です。ここでは、代表的なセキュリティ機能について、各社のサービスを比較しながら見ていきましょう。

WAFとFirewallによる外部攻撃対策とクラウドセキュリティ戦略

WAF(Web Application Firewall)とFirewallは、ネットワークセキュリティの基本です。Firewallが不正な通信を遮断する「城壁」だとすれば、WAFはWebアプリケーションに対する特定の攻撃を防ぐ「盾」のようなものです。この2つの機能を理解することは、クラウドセキュリティ戦略を立てる上で非常に重要です。

機能AWSGoogle CloudAzureOCI
WAFAWS WAFCloud ArmorAzure Front DoorOCI WAF
FirewallSecurity Groups, Network ACLsVPC Firewall RulesAzure FirewallOCI Firewall
  • AWS WAF: 細かなルール設定とBot Controlに優れており、複雑な要件にも対応できます。
    AWS WAFの詳細はこちら
  • Google Cloud Armor: Cloud Load Balancingとの統合に強く、シンプルな構成で導入可能です。DDoS攻撃対策も標準で備わっています。
    Google Cloud Armorの詳細はこちら
  • Azure Firewall / Azure Front Door: Azure Firewallはネットワーク全体の通信を制御し、Azure Front DoorはWAF機能も含むため、より広範なセキュリティ対策を講じられます。Azure Front Doorの詳細はこちら
  • OCI WAF: 独自のWebアプリケーションセキュリティを提供し、高度な脅威保護機能が特徴です。
    OCI WAFの詳細はこちら
クラウドセキュリティの仕組みを表現した、WAFとFirewallのイラスト。
WAFとFirewallは、大切なデータを守るための盾と城壁です。

データ暗号化と鍵管理サービスの比較

データ暗号化は、データが盗まれたり漏洩したりした場合でも、内容を読み取れないようにする仕組みです。保管中のデータ(保存時の暗号化)と通信中のデータ(転送時の暗号化)の両方を保護することが、クラウドセキュリティ戦略の鍵となります。

機能AWSGoogle CloudAzureOCI
暗号化AWS KMSCloud KMSKey VaultOCI Key Management

ケーススタディ:中小企業におけるセキュリティ実装例

中小企業の皆様が、具体的にどのようにクラウドセキュリティを実現すれば良いか、具体的なケーススタディを交えてご紹介します。

ECサイト移行におけるセキュリティ強化(A社の事例)

A社は、自社で運営していたECサイトのサーバーを、老朽化を理由にクラウドへ移行することになりました。顧客の個人情報やクレジットカード情報を扱っているため、クラウドセキュリティ戦略は最重要課題です。

対策のポイント

  1. Webサーバーとデータベースの分離: Webサーバーとデータベースサーバーを別々のプライベートネットワークに配置し、インターネットから直接データベースにアクセスできないように設定しました。
  2. WAFの導入: ECサイトの入り口にWAFを配置し、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといったWebアプリケーション特有の攻撃を防ぎます。
  3. データ暗号化の徹底: データベースに保存される顧客情報や取引データは、必ず暗号化して保管します。また、ユーザーがECサイトを利用する際の通信(HTTPS)も、SSL/TLS証明書を用いて暗号化します。
  4. Firewallの設定: 必要な通信のみを許可するようFirewallを設定し、不要なポートをすべて閉じます。

テレワーク時代の社内システム構築(B社の事例)

B社は、テレワークの導入に伴い、社内ファイルサーバーや勤怠管理システムをクラウドに移行しました。社員がどこからでも安全に社内システムにアクセスできる環境を求めています。このケースでも、明確なクラウドセキュリティ戦略が求められます。

対策のポイント

  1. VPNの活用: 社外から社内システムにアクセスする際は、必ずVPN(Virtual Private Network)を利用するように設定します。VPNを利用することで、通信経路が暗号化され、安全なリモートアクセスが可能になります。
  2. 多要素認証(MFA)の導入: ログイン時に、パスワードだけでなく、スマートフォンに送られるコードなども併用する多要素認証を導入します。
  3. アクセス制御の強化: 各社員の役割に応じて、アクセスできる情報やシステムを制限します。
  4. 監査ログの有効化: 誰が、いつ、どのデータにアクセスしたかの記録(監査ログ)を有効にし、定期的に確認します。

よくある質問(FAQ)

Q1. WAFとFirewallは両方必要ですか?

A. 役割が異なるため、基本的には両方導入することを推奨します。Firewallはネットワーク層、WAFはアプリケーション層の保護を担います。

Q2. クラウドのセキュリティはベンダー任せでいいのでは?

A. 「責任共有モデル」により、利用者が担う設定・アクセス制御の責任も存在します。過信は禁物です。
AWS | Azure | Google Cloud

Q3. 多要素認証(MFA)とは何ですか?

A. 多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)とは、パスワード+スマートフォンに送られるコードなど、2つ以上の要素で本人確認を行う仕組みです。これにより、パスワードが漏洩しても不正アクセスを防ぐことができます。
AWS | Azure | Google Cloud

Q4. クラウドのデータ暗号化は自動的に行われますか?

A. 保存されるデータについては、多くのクラウドサービスでデフォルトで暗号化が有効になっています。しかし、暗号化の方法や鍵の管理設定は、利用者自身が行う必要があります。転送中のデータも、SSL/TLSなどの仕組みを使って暗号化することが不可欠です。
AWS | Azure | Google Cloud

Q5. セキュリティ対策にどれくらいのコストがかかりますか?

A. セキュリティサービスのコストは、利用するサービスの種類や規模によって大きく異なります。まずは、自社の要件に合わせて必要最低限の機能から導入し、ビジネスの成長に合わせてスケールアップしていくのが賢明な方法です。コスト最適化も重要なテーマとなります。

Q6. 中小企業でも高度なセキュリティ対策は必要ですか?

A. はい、必要です。サイバー攻撃の対象は大手企業だけでなく、セキュリティ対策が手薄な中小企業も狙われるケースが増えています。顧客情報の保護や事業継続のためにも、適切なセキュリティ対策は規模に関わらず重要です。

Q7. 複数のクラウドサービスを併用する場合の注意点は?

A. 複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド環境では、セキュリティ設定が一貫しているか確認することが重要です。各サービスのセキュリティポリシーや設定を個別に管理する必要があり、複雑になりがちです。

Q8. セキュリティ対策の最新情報をキャッチアップするには?

A. 複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウド環境では、セキュリティ設定が一貫しているか確認することが重要です。各サービスのセキュリティポリシーや設定を個別に管理する必要があり、複雑になりがちです。当社のITサポートサービスでは、このようなマルチクラウド環境の課題解決を支援しています。

まとめ:セキュリティは成長への投資、そしてJUICYの願い

クラウドセキュリティは、決して難しいことばかりではありません。基本的な考え方を理解し、適切なツールとサービスを選べば、中小企業様でも十分なセキュリティレベルを確保できます。セキュリティ対策は「費用」ではなく、ビジネスの成長を守り、顧客からの信頼を築くための「投資」だと私は考えます。

このガイドを参考に、ぜひ皆様のクラウドセキュリティ戦略を策定してみてください。
もし、具体的な実装方法やどのサービスを選べば良いか迷われることがあれば、無料でセキュリティチェックシートをご提供しています。

シリーズ記事:

The Cloud Titans #5-3


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